サルタリィ・ベンは、競走馬飼料・競走馬サプリメントを通して丈夫な馬づくりを応援しています。
競走馬飼料として多用されているゼラチン、コラーゲンとアミノ酸の補給を目的とした純品100%タイプゼラチンは、 予防医学の素材としても重要な物質です。
運動器(蹄・骨・関節など)の健康に!若馬の成長に!胃腸の健康・疲労回復に!
競走馬飼料 コバスについてのお問い合わせ・ご注文はこちらまで 

TOPページ ごあいさつ 製品案内 事業内容 会社概要 リンク集 ブログ

第1章・第1話へ

□ 第2章 □

(第1話)運動前後の管理の基本

(第2話)骨疾患とその管理

(第3話)筋・腱・靭帯の疾患と管理

(第4話)年齢別・ライフステージ別運動器管の管理

(第5話)馬の運動器系における検査・診断法について

(第6話)馬の栄養と骨格筋・筋肉管理の基本

(第7話)競技やレース期間中の飼養・栄養管理

(第8話)出走・競技前の飼料給餌について

(第9話)出走・競技後の飼料給餌について注意すべきこと!!

(第10話)強い競走馬・競技馬を目指す時に何が必要か?

(第11話)人馬一体のなかで活躍する馬を作るための提言・纏め

(第10話)強い競走馬・競技馬を目指す時に何が必要か?

1)スタミナの増強:
@ スタミナは、持久力であるが、競走馬の場合はスピードの持続を意味する。
A スピードの持続は→より多くのグリコーゲン(炭水化物の貯蔵物質)をいかに筋肉内に貯蔵し→運動により
  減少していく分を、いかに必要な時に多く使うかが鍵である

B 筋肉中のグリコーゲンの蓄えが少ない→走れる時間も短くなる。
C ハロン18秒以上で走った場合は、急激に筋肉中グリコーゲンの消費速度が速くなることが判っている。
D 筋肉中のグリコーゲンの増加を目指す時→運動量の増加と共に炭水化物が多く含まれる穀類(エンバクなど)飼料中心の給餌量を増やす。←その際にタンパク質の多い(油粕類;大豆粕、アマニ粕など)飼料の給与量はそのままにする。
E 油の摂取により筋肉中のグリコーゲンを節約し、弱い運動時に油を使い、グリコーゲンを必要な時まで温存しておくと言う考え方が出てきている←バランスの良い給餌が必要
F 不飽和脂肪酸であるオリーブ油は吸収が一番良いが高価、米ヌカや大豆粕、アマニ油は安価で良好である。

2)筋肉増強:
(1)筋肉は鍛えると強くなる
@ 運動(筋肉分解)→休息(筋肉修復)←適正な栄養の給餌を忘れないように
(2)筋肉づくりの栄養
@ 運動直後(30〜60分)の高タンパク質(大豆粕など)の摂取→筋肉増強効果がある。育成馬で胸囲が通常給餌よりも6ヵ月で2cm程大きいことが判明している。
A 理由は、運動後→成長ホルモンの分泌が活発に起こり→たんぱく質給餌により休養・睡眠時に筋肉が合成される←成長ホルモンの作用による。
B 運動後にタンパク質だけでなく、炭水化物も同時に給餌することによって、筋肉の分解が抑制される。
C 理由は、運動により筋肉活性化で分解が活発となり→タンパク質給餌で筋肉中のタンパク質の補充と→炭水化物給餌によりインスリンが分泌され筋肉の分解が抑えられるためである
(3)筋肉づくりに重要なアミノ酸
@ アミノ酸には、飼料からの摂取が必要な必須アミノ酸と体内で合成される非必須アミノ酸があるが、必須アミノ酸のパリン、ロイシン、イソロイシンの3つが重要でBCAAとも言う
A 必須アミノ酸BCAAは、大豆粕などの油粕に多く含まれている。
B BCAAは、筋肉合成のみでなく有酸素運動能力にも良い効果(運動後の乳酸値の上がりが低いことからも理解される)。
C BCAAは、脳内の疲労物質(トリプトファン)増加を防ぎ、集中力の持続に効果がある。
D その他、大豆粕に多く含まれる必須アミノ酸リジン(他のアミノ酸効果を引き出す効果)、トレニン(発育に関与)、メチオニン(体脂肪を減らす、蹄や被毛の合成効果)は身体に必要なアミノ酸である。

3)骨づくり
@ 骨はミネラル(カルシウム、リン、マグネシウム、マンガンなど)の貯蔵庫であり、常に体のミネラルの恒常性維持に関与している。
A カルシウム→競走馬では1日あたり60g必要。カルシウムとリンのバランス;2:1が最適である。
B 銅→1日あたり300〜400mg必要。
C 良質なタンパク質→骨の健全な発育に必要。
D ビタミンD→日光浴、天日乾草から得られる。過度な補給は必要ない。
E カルシウムを多く含む飼料:アルファルファ、シロクローバー、大豆(生草・開花期)、ヨモギ、魚粉など。
骨を丈夫にするためには、三大必須条件と補助器官の強化が必要:

3)競走馬・競技馬の疾患予防に関する飼養管理(危険因子)について
運動エネルギーを食糜・飼料から得ている消化器系の日常管理が大切である。
(1)疝痛に注意:
@ 危険因子;穀類の過剰給与。
予防;穀類の1回の給与量を少なくすること。
穀類に代わる高エネルギー飼料(油粕など)の利用。トウモロコシの過剰給与に注意。
A 舎飼い
屋外での運動時間を多くとること
B 頻繁な飼料内容の変更
4〜5日間以上をかけて徐々に変更(急激な牧草の種類の変更にも注意)。
C 飲水の制限
清潔な水を常に自由に飲めるようにする
D 低質粗飼料の多量摂取
給与する牧草を葉の多い良質なものに変更し、ワラなどの敷料を摂取させないようにする。
(2)胃潰瘍に注意:
胃潰瘍は、胃の壁状縁胃液分泌粘膜と機械的に糜粥形成部位の境目に好発する。
@ 飼料を摂取していない時間帯が長い場合や穀類やペレットの摂取量が多い場合(咀嚼回数少ない、
  胃酸分泌の促進が起こる)などに起こる→胃酸を緩衝する唾液の分泌量が少ない→結果として長期にわたり
  胃粘膜が胃酸にさらされる→胃潰瘍の発生へと連なる。

A ストレスが大きい場合→馬は神経質な動物であることからストレスには弱い⇔胃粘膜防御機能の低下が
  起こり→胃潰瘍の発症

左図:雨の中のバラ。                       右図:英国館のバラの一輪。

(4):胃潰瘍の原因・要因
内因性の原因(消化性胃潰瘍)

@ ストレス、急性感染症、食中毒など→胃酸やペプシン分泌亢進→胃潰瘍。
ストレス説;
@ 精神的ストレス→自律神経機能不全(特に交感神経の興奮)→血行障害(胃の血量減少)→胃粘膜上皮の
  機能不全
【胃液生産(粘膜上皮の保護)の低下・防御能力の低下】→胃液の塩酸やタンパク質分解酵素
  ペプシンにより→胃内壁を溶かす→胃潰瘍←好発部位の壁状縁は血管の吻合部位でもあることから血管との
  関連が強い

A 強いストレス→血液・体液→酸性になる【カルシウム・Caはストレスに抵抗して弱アルカリ(pH7.35)を
  保持】⇔Caの不足は胃潰瘍を促進することになる

B イライラ→体内のCaイオンが低下→神経細胞の働きが過敏となる。
C Caの効用;
腸管内のアルカリ性(pH7.6以上)を保つ作用がある→
分解・吸収が良くなる。
有機化合物と結合して不溶性化合物をつくる作用がある→コロイド化→排泄→心・神経の鎮静化。

外因性の原因(壁状縁に好発);

@ 粗飼料、寄生虫、薬剤・薬物、冷水・熱水など。
A 飼料を摂取していない時間帯が長い場合、穀類やペレットの摂取量が多い場合(咀嚼回数少ない。胃酸分泌の
  促進)→胃酸を緩衝する唾液の分泌量が少ない→長期にわたり胃粘膜が胃酸にさらされる→胃潰瘍となる

B 唾液は、pH7.0(中性)、デンプン消化のアミラーゼ、ムチン(粘素)、抗菌作用のペルオキシダーゼ、
  免疫グロブリンのIgAを含み、特に馬唾液の70%を占める耳下腺はCa代謝に関与するパロチンを分泌
  している

(5)胃潰瘍の予防:(厩舎・牧場への飼養管理指導)
@ ストレスが大きい場合→胃粘膜防御機能の低下→胃潰瘍。←1回当りの給餌量を減らし、回数を多くする
A 穀類などの濃厚飼料は切り草と共に与える
B 牧草を1日数回に分けて与える
C Caの給餌(アルファルファ乾草)
D ストレスの軽減
E 外因性潰瘍の原因除去
なお、胃潰瘍に関連する図あるいは説明は、前回の消化器系の話題を参照されたい。なお具体的には、
胃潰瘍の肉眼写真については第8話を、胃・十二指腸潰瘍進行のメカニズム模式図については第3話を、
胃、十二指腸憩室並びに胃粘膜の各種細胞の模式図に関しては第3話を参照されたい。

左図:新宿御苑。                        右図:上高地の古池。

4)栄養管理の面から再度カルシウム・Caについて考えてみよう
(1)Ca多給の場合:

《軟骨から正常な骨形成の過程は;軟骨の変性→壊死→血管浸入→骨形成となる、しかし多給あるいは不足の
 場合は以下のような障害の発生も見ることになる》
@ 骨形成の流れを阻害;  
  骨組織の限局性壊死→骨軟骨症→骨折や他の骨疾患を発症する。
A Ca血症;
  甲状腺からカルチトニンの分泌が起こり→軟骨から骨成長への阻害→骨硬化→骨折を発症する
B 妊娠母馬;
  カルチトニンを多量に分泌→胎盤通過→胎仔が吸収→骨吸収の妨げ⇔PTH(上皮小体のホルモン)の
  作用抑制が起こり→
骨増生促進あるいは骨への成長阻害→骨軟骨症→骨疾患を発症する
Caを多給した場合は、特に骨に影響を及ぼす。

左図:英国館に咲くバラの花。    右図:わが家のパンジー(上段)とストック(下段)。

(2)Ca不足の場合
(日本の土壌は火山灰で酸性、カルシウム;Caが少ない)
@ 生体機能の減退を招く:
A Ca不足は生体機能減退を招き暴力を振るったり、暴れ馬にしてしまう。
B Ca不足を招く物質の作用機序は、神経系統の働きにトラブルを発生し、ついにはストレスに弱くなり
  暴れたり、暴力を振るうことになる。
Ca不足により、ストレスに弱く暴力的行動が多くなる。

Ca不足による症状出現のメカニズム

人間にCa不足を招く物質の作用機序:

(1) Caの効用
@ 精神安定剤の作用。
A 背丈を伸ばす作用。
B 骨密度を正常に保つ作用。
C ガンを予防(酸性を微アルカリ)する作用。
D 腸内の栄養物を分解・吸収・促進する作用。
E 心・神経・筋等の働きを促進する作用。
F 血液や体液を弱アルカリ性(pH7.35)に保つ作用。

(2) Caの効用とインスタント食品
上図:インスタント食品と冷凍食品の栄養含有;これらインスタント食品はCaが不足ぎみであることから、馬取扱者は十分食事に配慮して
馬に接して欲しい。
下図:簡単な昼食における栄養価表;一般に何気なく食べている簡単な昼食において栄養価のアンバランスが伺える。このアンバランスを
防ぐ意味において、特にカルシウム不足を補うためには、人間は牛乳を飲むことを推奨している。

左図:安曇野の山茶園。                     右図:上高地:オオカメノキ。



(第9話)へもどる | (第11話)へすすむ

第1章・第1話へ
第2章・第1話へ