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□ 第4章 □

(第1話)皮膚の仕組みについて〜1

(第2話)皮膚の仕組みについて〜2

(第3話)皮膚の疾患について〜1

(第4話)皮膚の疾患について〜2

(第4話)皮膚の疾患について〜2

 第4話では、細菌やカビあるいはウイルスなどによって感染ししかも伝染する厄介な伝染性皮膚病、クロバーやソバ
などを食べて皮膚病になる飼料疹、神経性の脱毛、特定の寄生虫による皮膚病、先天性の白子・アルビノやイボ等に
ついてツブヤキます。

1)伝染性皮膚病
(1)皮膚真菌症
(皮膚糸状菌症)(dermatomycosis,ringworm):
左図:競走馬の白癬菌症:伝染性皮膚病である。(JRA総研)
 上段;皮膚炎は肩甲部、鞍下部、胸前部、ヒバラ部に形成されている。
 下段;は白癬菌症馬の皮膚接写像で、皮膚炎は斑状型で、無毛斑でやや膨隆してみられる。
右図:白癬菌症の皮膚の組織病変;(JRA総研)
 左側:化膿性毛包周囲炎ならびに皮膚真皮炎の像。PAS染色。
 右側:表皮の有棘層の顕著な増殖と真皮の細胞浸潤の像。脱毛。HE染色。

 症状・病態:
@ カビである真菌(しんきん)の寄生による伝染性表皮炎のことです。
 原因:
@ 真菌(糸状菌)は、小芽胞菌(しょうがほうきん)、白癬菌(はくせんきん)、黄癬菌(おうせんきん)などからなり、
  菌糸(きんしmycelium)は主に痂皮や表皮内に侵入し、芽胞(がほうspores)は被毛を取り囲むか毛幹(もうかん)内に
  侵入しています。以下に3種の特徴を記載しておきます。
A 真菌の一種である小芽胞菌(しょがほうきんmycrosporon)は、概して芽胞(がほう)は小さく、毛幹周囲に灰白色の
  菌鞘(きんしょう 芽胞鞘)を形成し、芽胞の配列はブドウの房状で、連鎖(れんさ)や糸状に配列することは
  ありません。
B 白癬菌(trichophytonはくせんきん)が感染した場合のカビの芽胞は概(がい)して大型で、その配列は連鎖状です。
  白癬菌には3種あり、芽胞連鎖が常に被毛の内部のみに限在する毛内菌、芽胞の連鎖が毛幹内を縦走しさらに毛幹
  外部にも菌鞘を形成する毛外菌、最初に毛幹外に存在し後に毛内菌に変ずる新毛内菌。これら毛内菌の多くは人類
  に、他は人畜に寄生・感染します。ウマの白癬菌は試験管内でケラチン溶解能をもっているのが特徴の一つです。
C 黄癬菌(おうせんきんachorion)は、被毛に寄生する場合は毛内性に、皮膚の病巣は黄白色の小円盤状を呈する
  特徴があります。

右図:白癬菌症の毛;抜いた毛のPAS染色⇔毛のカビ培養なしに顕微鏡診断が可能です。
 上段;白癬菌症の毛包内における連鎖状の芽包の浸潤増殖。PAS染色。
 下段;毛鞘に菌糸と芽胞の繁殖、並びに細胞浸潤を伴う毛鞘周囲炎。PAS染色。
左図:白癬菌症の毛包内における芽包の浸潤増殖像;(JRA総研)
 上段・下段ともにPAS染色。抜毛によるPAS染色の顕微鏡標本です⇔毛のケラチン層には顕著な連鎖状状の芽胞の繁殖像をみる⇔白癬症の診断には簡便な迅速診断法(PAS染色)で出来る。

(2)白癬(はくせん)または禿性疱疹(はげせいほうしん、匐行疹 ふこうしんtrichophytosis)について:
 症状:
@ 感染は、皮膚の拭浄器具(ふじょうきぐ)、毛布、鞍下(くらした)、その他の馬具による媒介(ばいかい)、接触感染
  (せっしょくかんせん)によって起リます。
A 湿潤(しつじゅん)した皮膚は感染し易いです。
B 潜伏期間(せんぷくきかん)は1〜4週間です。
C 病変部は班状型(はんじょうがた)、水疱型(すいほうがた)、結痂型(けっひかた)、輪癬型(りんせんがた)の4型が
  あります。
D ウマの白癬症(ウマの匐行疹ともいう);班状型が最も多く、好発部位は顔面、背部、肩甲部、臀部で、大きさは
  拇指頭大(ぼしとうだい)〜鶏卵大(けいらんだい)の円形無毛班を散発し、皮膚炎や痒(かゆ)みの無いのが特徴です。
  特に鞍下や腹帯の圧迫部位はかかり易いです。また、小芽胞菌と白癬菌の割合は3:1くらいで、幼駒にかかり易い
  傾向にあります。
(3)鼻疽(びそ)(皮膚鼻疽;仮性皮疽;皮疽;流行性リンパ管炎;glanders,malleus)
 症状・病態: 
@ 皮膚の創傷からの黴(かび)(saccharomyces farciminosus)感染で、特に前胸、腋窩、胸腹壁・腹下部等に好発
  します。
A 先ず皮膚に大豆大の結節が現れ、熱を帯び、数日で軟化し膿瘍となり、ついには自潰して肉芽の増生があり、
  次第に隣接するリンパ管に蔓延腫脹(まんえんしゅちょう)隆起(りゅうき)して索腫(さくしゅ)・索状の腫脹)を
  形成し、更に結節を生じるようになります。
B 海外悪性伝染病に分類され、伝染力は極めて強いです。
 病理;
@ 皮下組織および皮膚のリンパ管に沿う念珠状(策腫)に結節を形成します。
A 結節はしばしば潰瘍となります。
(4)放線菌病(ほうせんきんびょうactinomycosis),ブドウ菌病(botryomycosis)
 病理:
@ アクチノミセス・放線菌とブドウ球菌が原因菌で、慢性経過をとり、慢性(まんせい)肉芽腫性炎(にくがしゅ
  せいえん・結合組織性硬結)が特徴病変です。
A 肉芽腫(granulomatous inflammation;肉芽腫性炎とは?;肉芽組織を主成分とした炎症組織が限局して、
  しばしば層状構造をし、内部に病原微生物が生息している場合もあります)は、内部には微小な黄色病巣の散在・集族
  しています。
B 組織的・顕微鏡的には放射状に配列する特徴的なロゼット形成をみることになります。
C 通常は皮膚の創傷から感染し、ブドウ菌病のロゼットは粘液様包被物質層形成によってキイチゴ様形態(ブドウ状菌腫)
  をとるのが特徴です。
左図:ぶどう状菌症の末期における馬体像。(JRA総研)
右図:同症例の多発性関節炎末期における前肢下脚部関節の腫脹と化膿・自壊像(JRA総研)。

左図:多発性関節炎にみられたブドウ状菌塊(組織像では特徴的な細菌の塊りで診断される)。
右図:キイチゴ様菌塊がみられるブドウ菌病。(左右図はJRA総研提供)
 予防:
 何処にでもいる細菌なので日常の手入れ時の注意・馬体への目配りが大切です。


(5)ゲタウイルス感染症(Getah virus infection):届出伝染病に相当。
 症状・病態:
@ 我が国では、1978年の初秋の美浦トレーニングセンターで、発生しました。発熱、浮腫と発疹を主な症状として発症
  します。
 病原体:
@ トガウイルス科アルファウイルス属のゲタウイルスによって発症します。
A 蚊やダニなどの節足動物によって伝播されるウイルス性伝染病です。
 感染様式:
@ 感染したウマから蚊(キンイロヤブカやコガタアカイエカ)が吸血し→ウイルスをもった蚊が→ウマへ吸血で感染
  させます。
 疫学:
@ ゲタウイルスは日本、極東地域、台湾、東南アジア、オーストラリアに分布しています。
A ヒト、ウマ、ブタ、ヤギ、ウシ、イヌ、ニワトリ、一部の野鳥、カンガルー等に抗体を持つものがいます。
 臨床症状:
@ 感染すると発熱、発疹、四肢の浮腫が主要な症状です。
A 発熱;38.5〜39.5度で数日以内に平熱に戻ります。
B 発疹;頸部、肩部、肋部、臀部、後肢にかけて、米粒大から小豆大の発疹が突然あるいは発熱後2〜3日以降に出現
  してきます。
C 浮腫;熱のない冷性(れいせい)浮腫(ふしゅ)が四肢の腕節や飛節から下の下脚部、特に後肢に多発します。
 病理;
@ 皮層の水腫、リンパ球や好酸球の浸潤が顕微鏡でみられます。
A リンパ節の洞内にはリンパ球が充満しています。
B 時に健常では見られない脳の実質に囲管性細胞浸潤がみられます。
 診断:
@ 媒介昆虫の活動期に発熱、発疹、浮腫の典型的な症状をワクチン接種馬以外にみられた場合に本症を疑うことです。
A 血液の血漿部分からのウイルスを分離します。
 予防:
@ 不活化ワクチン接種。
A 衛性昆虫の駆除、厩舎環境の清浄化。
(6)馬の水胞性口炎(equine vesicular stomatitis)病;法定伝染病・海外悪性伝染病に相当します。
@ ウマ、ウシ、ブタに水胞、糜爛(びらん)、斑点を口腔粘膜、乳頭、蹄、皮膚に形成するウイルスによる伝染病です。
A 死亡することはなく、中央アメリカが常在地です。
 病原体:
@ 水胞性口炎ウイルス(vesicular stomatitis virus;VSV)で、ラブドウイルス科に属し、RNA核酸を持ち、ウイルス
  粒子は弾丸状で、2種類のタイプがあります。
 感染様式:
@ 吸血昆虫(蚊、ダニ、刺(さし)バエなど)の介在による水平感染で起こります。
A 唾液や水胞液からの接触感染です。
 疫学:
@ アメリカ、メキシコ、パナマ、ベネゼエラ、カナダ、ボリビア、アルゼンチン、ブラジルなどで発生しています。
A 我が国には発生が無い。
 臨床症状:
@ 発熱、舌の炎症(水胞、糜爛)、蹄の炎症(圧痛、糜爛、跛行)、食欲減退がみられます。
 診断:
@ 舌や蹄の水胞や糜爛の形成による特徴的な臨床症状を示します。
A 確定診断はウイルス分離(病変部からの組織の培養細胞、乳飲みマウスへ接種)、血清学検査(発症時と回復時の
  組血清からの中和、補体結合、エライサ反応)を実施。
 予防:
@ 生ワクチン、不活化ワクチン、サブユニットワクチンなどが開発されています。

2)飼料疹
 症状・病態:
@ 飼料中に含まれる特殊な毒作用と日光照射との共同作用により、皮膚炎や湿疹などの発疹を生じる一種の中毒の症状
  をいいます。
(1)ツメグサ病(trifoliosis,clover disease)あるいは光覚過敏症(photosensitization)ともいいます:
A クロバーなどのマメ科植物を食べたことにより日光に過敏(かびん)となって起こる病的な皮膚病状態を言います。
B 発症のメカニズムは血液中にあるヘマトポルフィリンと言う鉄分を含まないヘマチンが生じるために起こります。
C ヨーロッパではソバの葉茎や実を多食した家畜に発するので、ソバ病・ソバ中毒またはソバ滲とも言います。
 症状:
@ 顔面や四肢下部の白色皮膚の充血、腫脹(しゅちょう)、落屑(らくせつ)や著しい?痒感(そうようかん)があります。
  重症では痛み、水疱、化膿することもあります。
 原因:
@ 多量のムラサキツメグサ(red clover)、その他のクロバー(シロツメグサ)、アルサイクロバー(swedish clover)
  の多食馬が日光にさらされ、白色部の皮膚の腫脹が更に進行して破壊(はかい)されて皮膚炎を発症します。

3)神経性皮膚病
(1)脱毛症
(alopecia)
 症状・病態:
@ 皮膚に特別な疾患がないにもかかわらず、自然に被毛(ひもう)が抜(ぬ)けるか、あるいは先天的な禿毛(はげ)を
  言います。
 原因:
@ 原因は不明であるが、寄生虫説、神経説などがあります。
A 内分泌・ホルモン障害または交感神経説、栄養障害説などもあげられています。
 病理:
@ 毛をつくり成長させる部位の毛母基および上皮性毛包の萎縮(いしゅく)によります。
A 毛包周囲の水腫(すいしゅ)あるいは膠原線維(こうげんせんい)の増殖がみられます。
B 毛の外層にある硝子膜の肥厚(ひこう)や石灰沈着がみられます。
C 皮脂腺の萎縮があります。

4)寄生性皮膚病
(1)血汗症
(けっかんしょう)(haematatidrosis equi)
 症状・病態:
@ 多乳頭糸状虫(たにゅうとういとじょうちゅう)という寄生虫に起因するウマの皮膚病のことを言いますが、特異的な
  出血がみられます。
A オーストリア、ハンガリー、ソビエト、モンゴル、中国の東北地方の夏季に発生します。
 症状:
@ 肩、頚、胸、背部、顔面の皮膚に胡桃大(くるみだい)の隆起を生じ、1〜2週間後に破裂して血液が漏(もれ)出て、
  2〜3時間続き自然に癒合します。
A 病状は夏季に発生し、冬季には見られません。
 病理:
@ 皮下脂肪の深部に顕著な好酸球浸潤をみますが、仔虫の周囲には変化が無く、成虫が寄生した周囲には病変を形成
  しています。
A虫体を中心に皮下出血。虫体通過部に細胞浸潤、壊死、出血があります。
(2)皮膚糸状仔虫症(cutaneous microfilariasis)
別名:夏癬(かせん)、またはウマの皮膚糸状仔虫症といいます
 症状・病態:
@ 糸状仔虫に起因するウマの皮膚病で、ウシのワセ、コセ病に類似しています。
 発生:
@ 日本全国に発生します。4月下旬から6月上旬が初発で、秋冷期には自然治癒する皮膚病です。
A 1回発病すれば数年反復して発症します。
 症状:
@ 頭頚部、胸前、肩、四肢、尾根の皮膚に豆大の丘滲が初発で、激しい痒さのため物に擦り付け摩擦し、脱毛、湿疹、
  慢性皮膚炎、象皮病様の外観を呈するようになります。
 原因と病理:
@ 頸部糸状虫(onchocerca cervicalis)の成虫が頚靭帯(けいじんたい、?甲部・きこう部付近)の靭帯線維内に
  纒絡(てんらく)して寄生して発症します。
A 皮膚の上皮直下乳頭層または網状層の部位に散在または集団して寄生しています。
B 好酸球、円形細胞の浸潤、結合組織の増殖像として観察されます。

図:頚部の皮膚の湿疹部皮下結合組織(丘疹様小結節)に観察された指状糸状虫(?)の虫体断面(↓、↑)と細胞集簇巣:
 確定診断はできないが恐らく馬の夏癬症例と考えています。

(3)顆粒性皮膚炎また夏創(dermatitis granulosa、summer sore),
   皮膚ハブロネマ症(habronemosis cutis)とも呼ばれます。
 症状・病態:
@ 馬固有の寄生虫性皮膚病で、創面が顆粒状を呈するのが特徴です。
A 夏季に発生し、冬季には治癒に傾く傾向にあります。
B ヒムシと言う類似皮膚病があります。
 発生:
@ インド、アメリカの南部、中国、台湾、日本では関東以西から九州地方に多発します。
A 湿地、泥沼地に繋養されたウマに多くみられます。
 症状:
@ 四肢および下腹部に小結節をつくり、激しい痒みのため、患部を摩擦し、肉芽の贅生がみられます。
A 創面より粘液流出し悪臭を放つが、痛みは感じられません。
 原因:
@ ウマの胃虫(habronemaハブロネーマ)の幼若虫の寄生によります。
 病理:
@ 発生部位は、前肢の球節部分が大半で、その他蹄冠部や腹部にもみられます。
A 温暖地で、顔面や前胸部に頻発してみられます。
B 皮膚に小結節形成、灰白色のアテロマ(粉瘤或は粥腫とも言い、柔らかく粘稠な脂質を含有した変性物質塊を入れて
  いる)をつくり、それが崩壊して潰瘍形成、皮下織の肥厚をみることもあります。

5)外皮系の先天性異常
(1)白子(しらこalbino;先天性白皮症;aibinism・アルビノ)
@ 白色の被毛、桃色の皮膚、虹彩の僅かな着色以外は眼の色素の欠如があります。
A 異型接合型(Ww)での常染色体性優性遺伝で、稀に発生します。
B 白皮症は、メラニン形成細胞の分布は正常なのですが、メラニン形成に必要な酵素・チロシナーゼを合成する能力が
  先天的に欠けているために皮膚が白色になります。
(2)上皮発生不全
@ 通常は腕関節や飛節の直上または舌に起こる上皮の小さな欠損で、幼駒の致死性疾患にはいります。
A 原因不明ですが、遺伝性の可能性を占めています。
B 欠損部の組織学的検査で、上皮の突然のとぎれが観察されています。
C 幼駒は発育不良で、他の奇形を持つことがあります。
(3)乳頭腫症(にゅうとうしゅしょう)(papillomatosis)
@ 出生時に皮膚の疣贅型増殖を示して生まれます。
A 原因不明ですが、ウイルスの子宮内不顕性感染(無症状感染)が疑われています。
B 稀に発生がみられます。
C 表皮の肥厚を伴わない場合は黒色表皮腫、伴う場合は乾癬、皮角、疣贅(ゆうぜい)、増殖性天疱瘡(てんぽうそう)
  などと区別されます。
図:帯広バンエイ競馬場の第2障碍超え後、ゴール前の必死な追い込み(ナイター競馬)。

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