サルタリィ・ベンは、競走馬飼料・競走馬サプリメントを通して丈夫な馬づくりを応援しています。
競走馬飼料として多用されているゼラチン、コラーゲンとアミノ酸の補給を目的とした純品100%タイプゼラチンは、 予防医学の素材としても重要な物質です。
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第1章:健康な馬には『栄養と運動』が必要!!
第2章:競走馬・競技馬の運動器官の管理と飼養(栄養)管理を如何にすべきか?
第3章:馬の栄養管理について
第4章:馬の感覚器系の仕組みを知り予防医学と馬の習性や心理の一部を解き明かそうではありませんか?
第5章:蹄の仕組みと疾患・予防について=蹄のしくみを知ろう=

第4章:馬の感覚器系の仕組みを知り予防医学と馬の習性や心理の一部を解き明かそうではありませんか?


馬は、本来肉食動物から一歩でも1秒でも速く逃れ、自分の子孫を残すために進化してきた動物です。
 しかも牛のように武器を持たない馬は当然ながら、研ぎ澄まされた優れた感覚器系をもつことになります。
*感覚器系とはどの部位を言い、どのような役割を担っているのでしょうか?

この章では、まず皮膚、眼、耳、舌、鼻などの感覚器系からなる特異的な構造と機能の仕組みを知り、
馬達との飼養管理・コミュニケーションに役立て、しかも体の表面から見分けがつく感覚器系における疾患について
その予防、更には馬の特性・感性から、馬の取扱い方などを考えてみようではありませんか?

=馬に接する時の注意=
**労災事故は馬関係者に多い
@ 馬の取り扱い者あるいは治療に当たる者は、草食動物である馬の体の仕組み・感覚器官の特性を十分理解した上
  馬体を観察し接することが最も重要なことなのですが、馬社会における労災事故は特に多い職業であることからも
  感覚器の特性・知識の大切なことがうなずけます。
A 一般的に鳥類は眼の動物、哺乳類は鼻の動物と言われていますが、動物の行動・感覚を理解しないままに
  人間の尺度で動物の行動を判断してしまうと、往々にして誤解・事故・怪我につながります。
B 感覚器には、環境の変化や異常を素早くキャッチする(視覚)、(聴覚・平衡覚)、(味覚)、(嗅覚)、
  皮膚(表面感覚)などがあり、それぞれ特有の感覚細胞【眼の網膜、内耳の聴覚部・平衡覚部、舌の味蕾(みらい)、
  鼻粘膜の嗅部、皮膚・粘膜】があり、これらの感覚器官の細胞は刺激を受けると電気的変化を起こし、その興奮・
  インパルスが知覚神経を経て、大脳の感覚中枢に伝えられ、感覚として認知・成立する仕組みになっています。
  従って、馬の感覚器の特性に無知なヒト、自分の判断で馬を扱うヒトに怪我が多いことになります。

図:感覚器官の細胞と伝達経路図;見て・、聞いて・、嗅いで・、味わって・、寒さや温かさなどを感じる・皮膚などにある特別なセンサーとしてそれぞれの感覚を司る細胞、そしてセンサーで得た情報を脳へ伝え、最終的にはが判断して各感覚器官へ反応させる仕組みになっています。

それでは、以下に日常の手入れの際に最初に馬に触る皮膚からツブヤキますが、先ず皮膚の構造と機能を知ろうでは
ありませんか?

□ 第4章 □

(第1話)皮膚の仕組みについて〜1

(第2話)皮膚の仕組みについて〜2

(第3話)皮膚の疾患について〜1

(第4話)皮膚の疾患について〜2

(第1話)皮膚の仕組みについて〜1

1)動物の毛・毛色に関するノウハウ:
『毛を見て馬を相(そう)す』:という諺がありますが、毛並みだけを見て馬の良否を判断することは、うわべだけで
物事を判断することの早計をいましめるたとえ言葉です。
@ 動物の良否の判断には以下の二通りがあります。
 一般的には体の全体をみて判断する手段。
 部分をみて全体を推し測る手段。
A 部分で判断する手段としては、一般に以下のように動物のいろんな器官で判断しています。
 ⇒角;有角動物(牛やヤギ、アフリカ水牛や野生ウシなど)。
 ⇒蹄;有蹄類(ウマ、ウシ、ブタなど)。
 ⇒毛艶(けづや)・毛並み;毛皮動物。
 ⇒;長鼻類(ゾウ)。
 ⇒羽毛光沢;鳥類。などに通用されています。
 ⇔これらの部分・器官が立派であれば、健康状態、群のなかでの優位性、能力などが優れているのが普通です。
 *『虎斑は見易く人斑は見難し(こはんはみやすく、じんぱんはみがたし)』:虎の毛色・斑紋ははっきり見えるが、
  人の心は簡単には見抜けないことのたとえ言葉になっています。
 *縞はシマウマで、斑点はヒョウ、ジャガー、ウンピョウなどのネコ科動物⇒効果はカモフラージュであるとされて
  います。しかし、最近の研究では暑い砂漠地帯に住むシマウマの白黒の縞は、太陽の光を利用した扇風機の役割が
  あるのでは(?)という報告もあります。
 一方、シマウマの縞は、近くでは白と黒がはっきりしているが、遠くで群れている場合はその全体が灰色にかすみ
  目立たなくなり、肉食動物のライオンなどの餌食になる可能性が低いとされていますが、これとてライオンの目の
  網膜の機能が弱いことから否定的に述べている研究者もいます。
 *多くの動物は、背側の色彩が濃く、腹側は淡い色⇒この効果は上からの光に対して、腹側の影をぼかし、体全体を
  ぼかす効果があるとされています。
 *マレーバク幼獣の斑(マダラ)模様は、熱帯林の地面に降り注ぐ木漏れ日に溶け込むためであるとされています。

左図:クレビーシマウマの縞模様(多摩動物園にて撮影)
右図:マレーバク幼獣のまだら模様(多摩動物園にて撮影);熱帯林の地面に注ぐ木洩れ日に溶け込むための模様。

2)皮膚の役割とは何か?
@ 皮膚は、身体を覆っているだけでなく実に多くの機能を持っています。様々な感覚をとらえる受容器としては、
  痛覚、触覚、圧感覚、温度感覚(冷覚、温覚)などがあり、しかも汗をかいて熱を放散して体温を調節する役目、
  皮下脂肪は転んだ時や物にぶつかった時などのショックアブソーバとしての役目、断熱効果やエネルギーの蓄積
  などの役目をしています。
A 皮膚は、一生涯変わらない指紋があり犯罪捜査に使われていますが、皮膚の角質が変化した爪や蹄は指先を保護し、
  また身体の保護に必要な毛髪などがあります。(馬では古くから附蝉・フゼンと言う四肢の内側部にある形態と
  紋から個体識別に用いられていました)。
B 体毛は、身体に蓄積された重金属の排除を行なっています。従って髪の毛は過去に身体に悪影響を及ぼした重金属の
  体内蓄積状態の判定検査材料に使われています。
C 毛のなかでも人間で気になるものとして頭髪と陰毛がありますが、直毛である頭髪の断面は円形であり、縮れ毛の
  陰毛
は楕円形です。形状の違いのある頭髪は女性ホルモンの影響を受け、カールしている陰毛や胸毛は
  男性ホルモンのアンドロゲンが関与しているからなのです。陰毛の成長は頭髪よりも遅く、頭髪で1ヵ月に約1cm
  伸び3〜4年間生き続けます。陰毛は1ヵ月に6〜7mm成長し、寿命は1年未満です。長さは日本の女性で3〜6cm、
  引っ張って伸ばすと9〜10cmが平均的で、男性はそれより長いそうです。

左図:皮膚の模式図;表皮は外界の刺激から守る層。真皮は脂腺や汗腺、感覚器、血管などがあり、体の防御や体温調節をしている層。特に、馬の汗腺はアポクリン腺からでる汗で、人には他に臭いや粘性の強いエクリン腺があります。なおは毛根で作られて成長しているのです。
右図:馬体の各部位の名称;四肢の内側部にある図中のナンバー21と48フゼン・腑蝉です。古くは個体識別に大きさ・形・模様が人間の個人的な指紋の様に利用されていました。

3)皮膚の構造と役割(仕組み)はどのようになっているのか?
@ 皮膚は身体の全表面を被う被膜(ひまく)であり、外界からの刺激(しげき)から体を保護(ほご)する器官で、全身の
  健康のバロメータ
にもなっています。
A 皮膚の形態的な構造は、外界に接している層を表皮(ひょうひ)、次いで真皮(しんぴ)、最下層は皮下組織(ひかそしき)
  の3層からなり、身体のなかで最も大きな臓器で〈体重の約16%を占めています)、付属器官として皮膚腺 (脂腺・
  ひせん、汗腺・かんせん)と角質器(蹄・爪、毛、角)からなる外皮(がいひ)という構造を持っています。
B 皮膚は感覚器であると同時に全身の保護、体温調節を皮下組織の動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)と呼ばれる
  動脈と静脈が毛細血管を介さずにドッキングしている特殊な血管によって行われています。さらに皮膚は生体防御
  (せいたいぼうぎょ)としての汗や皮腺の分泌・排泄、呼吸、栄養貯蔵、免疫(めんえき)などの体に重要な沢山の役割を
  しています。以下にその具体的な皮膚構造・の仕組みを説明します。

図:皮膚の断面組織像;皮膚はおおざっぱに言えば表皮、真皮そして皮下組織からなっています。

(1)四層からなる表皮層
@ この層は約4週間の寿命で、血管は無いが毛細血管からの組織液の拡散によって栄養液としています。外的刺激の
  受け易い部位は厚く、よく動く部位は薄く
なっています。
A その構造は表層から順に角質層;ケラチンの層で死んだ細胞の集まりだが最終的にはフケや垢(あか)として剥離
  してしまいます。外界からの刺激に抵抗し、内部の水分漏出を防いでいる淡明層【たんめいそう)がありますが表皮の
  厚い部位のみにみられるものです。
B 次いで、顆粒層(かりゅうそう)があり、細胞の核が変性し細胞質に硝子顆粒(ケラトヒアリン)という顆粒を
  持っています。
C 3層目には、有棘層(ゆうきょくそう)という細胞層があり、マルピギー層とも言われますが、表皮の中で最も厚く、
  細胞に大量のケラトヒアリン顆粒を含み約15〜30日で細胞変態に関与し、張細糸(ちょうさいし)という棘(とげ) で
  細胞と細胞を繋(つな)ぎとめているので細胞間橋(さいぼうかんきょう)とも言われます。メラニン顆粒があり皮膚の
  色に関係し、しかも組織液を持ち知覚神経が分布
しています。
D 4層目は、基底層(きていそう)と言い、円柱層あるいは胚芽層(はいがそう)とも言われます、角質を産生する細胞と
  メラニンを産生する細胞
からなり、Cの有棘細胞層(ゆうきょくさいぼうそう)に移行している層です。

図:皮膚表皮の拡大図;皮膚の表面にあるアカやフケになる剥離層〜角質層、そして水分がやたらに出ていかないようにしている透明層・淡明層、2層目には皮膚の細胞が変質した顆粒層があり、3層目は有棘層で細胞の集団層でメラニン顆粒を含む細胞や神経もみられます。4層目は基底層で円柱層・胚芽層ともいわれ角質やメラニンを産生する細胞があります。その下層は真皮層になります。(山田安正:現代の組織学 1994の図を参考にした)

(2)真皮層(表皮層の直下にある層)
@ 皮下組織と表皮の中間に在る層で、乳頭層(にゅうとうそう)と網状層(もうじょうそう)と言う層からなり、血管
  (上述した動静脈吻合という血管)が豊富で、体温調節をしている層です。
A 乳頭層とは;知覚神経の終末であるマイスネル触覚小体(しょっかくしょうたい)を含む神経乳頭と毛細血管の入って
  いる血管乳頭層の2種類があります。
B 網状層には;コラゲン線維のタンパク質が大半を占め、その他に弾性線維(だんせいせんい)を網目状に交錯させ、その
  隙間に水分保持力の強いヒアルロン酸で満たしている層からなっています。この層は、皮膚の弾力性や潤(うるお)いを
  保ち、クッションの役割を果たしています。年齢を重ねる(加齢)にしたがって皮膚の皺(しわ)やカサツキが出て
  きますが、その防止にはこの層のコラゲン生成・維持にビタミンCの補給が大切であるとされています。

(3)皮膚の色
@ ウマの毛色に鹿毛、栗毛、青毛などがありますが、皮膚の色は表皮の基底細胞層にあるメラニン細胞がメラニンを
  産生することから起こっているのですが、実はメラニン細胞の数の多少ではなく、細胞の色素産生能力によって
  異なった毛色になっているのです。
A メラニンは紫外線(しがいせん)の照射に対して生体を保護する役割をもっています。
 *メラニン細胞は、胎児時期の神経堤という部位に由来し、胎齢3〜6ヵ月で皮膚に侵入してくる細胞です⇔この
  細胞の悪性腫瘍はメラノーマで黒色腫です。
 メラニン細胞は全ての人種で同じ数を持っていますので、人種による皮膚の色は角化細胞に転送するメラニンの
  産生量の差
によることになります。
 メラニン細胞と基底細胞にある細胞との割合は1:4〜1:10であるとされ比較的少ないのです。

(4)皮下組織
@ 皮膚の最下層に位置し、疎性結合組織(そせいけつごうそしき)からなり、脂肪組織が豊富で、保湿と栄養貯蔵あるいは
  ショックアブソーバ
に役立っています。厚さは身体の部位や栄養そして年齢によって極端に変ってきます。

(5)皮膚の付属器官・皮膚の腺と毛について
@ 汗腺;真皮の深層から皮下組織に存在し、小汗腺(エクリン腺)と大汗腺(アポクリン腺)の2種類があります。
 *エクリン腺(小汗腺とも言い;ウマには無い)は毛とは無関係に存在し掌や足裏に多く、ヒトでは主に体温調節
  関与しています。
 この腺は真皮の深層にあり表皮から体表に腺を開口しています。細胞には2種類あります。
 *表層細胞(粘液様物質を分泌している細胞)と、*基底細胞→水分と若干の塩類を分泌している細胞です。
A アポクリン腺(大汗腺);ウマはこの腺のみで、ヒトの大きさより小さい)。
 アポクリン腺はヒトでは腋窩や外陰部などの特定の部位にのみ在り、毛包上部に開口し、特定の臭気を持つもの
  もあります。
 その部位はヒトで腋窩(わきか)、外陰部等の生殖器周囲、肛門、外耳道、眼瞼、乳輪にある特有な腺です。
 エクリン腺よりも粘稠で、色があり、匂いも強い
 毛包に開口しています。
B 脂腺(ひせん) ;
 毛包に開口し脂肪を分泌しています。
 皮膚の付属機関としての脂腺は、掌(てのひら)や足裏(あしうら)を除く全身にあり、毛包の上部に開口する毛脂腺と
  毛とは無関係に皮膚に開口する独立した脂腺があります。脂肪性の皮脂を分泌し皮膚や毛を滑らかにし、外からの
  液体
(雨など)の侵入を防ぐ役割をしています。脂腺は男性ホルモンで分泌を促進し、女性ホルモンで分泌を抑止
  しています。
C 皮膚の腺と関係していたは表皮が角化変形したもので、皮膚表面から出ている部位を毛幹(もうかん)といい、毛の
  根本を毛根(もうこん)と呼びその下端を毛球(もうきゅう)と呼び真皮が毛に沿って伸びてきた毛乳頭(もうにゅうとう)
  があり血管に富み、毛の栄養・新生・成長などはこの毛球に在る細胞の増殖によって行なわれているのです。


 次回(2話)も体にとって大切な皮膚の仕組みを更に詳しく述べます。

(第2話)へすすむ

第1章・第1話へ
第2章・第1話へ
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