サルタリィ・ベンは、競走馬飼料・競走馬サプリメントを通して丈夫な馬づくりを応援しています。
競走馬飼料として多用されているゼラチン、コラーゲンとアミノ酸の補給を目的とした純品100%タイプゼラチンは、 予防医学の素材としても重要な物質です。
運動器(蹄・骨・関節など)の健康に!若馬の成長に!胃腸の健康・疲労回復に!
競走馬飼料 コバスについてのお問い合わせ・ご注文はこちらまで 

TOPページ ごあいさつ 製品案内 事業内容 会社概要 リンク集 ブログ

第1章・第1話へ
第2章・第1話へ
第3章・第1話へ

□ 第4章 □

(第1話)皮膚の仕組みについて〜1

(第2話)皮膚の仕組みについて〜2

(第3話)皮膚の疾患について〜1

(第4話)皮膚の疾患について〜2

(第2話)皮膚の仕組みについて〜2

 第1話には、皮膚の仕組みとして、一般的な動物の毛色、皮膚の役割、更に構造としては表皮が4層からなりそれぞれの役割があり、皮膚の色や体温保持のための皮下組織そして被毛の艶や汗をだしている腺について述べてきました。
2話では皮膚の感覚器としての仕組みやその付属器官等についてツブヤキます。

(6)皮膚が各種感覚をキャッチする受容器の種類とその役割;
皮膚の感覚を司る神経終末には、表皮内終末(自由神経終末とメルケル小体)と表皮下神経終末(マイスナー小体、ファーター・パチニ小体、ゴルジーマッツォーニ小体、クラウゼ小体、ルフィニ小体)があります。

図:皮膚表皮下の終末神経の模式図;ファーター・パチニ小体とゴルジ・マッツオニ小体は圧覚の受容体で、クラウゼ小体は冷覚を、ルフイニ小体は温覚の受容体であるが、冷点は温点よりも密度が高いので感じやすい神経終末です。また、触覚と圧覚は指先や顔面に多く分布し、ファーター・パチニ層板小体とゴルジ・マッツオニ小体が受容体となり指頭・口唇、外陰部などに多く分布しています。また、表皮内と外毛根鞘の基底層にはメルケル小体という触覚細胞の神経終末が分布しています。(山田安正:現代の組織学 1994の図を参考にした)

@ 刺激に反応する点を感覚点といい、部位によって多少の違いがあるものの刺激を受け取る受容器があります。
  受容器は知覚神経を経て⇒大脳皮質の体性感覚野という部位に伝えられ、⇒そこで感覚(痛覚、触覚・圧覚、
  温度覚)として認識される仕組みになっています。
A 痛覚;身体の多くの部位にあります。痛覚には特殊な受容器がないのですが、皮膚に分布している感覚神経の
  自由終末が刺激を受けた時に生じます。瞬間的に起こる速く鋭い痛みで、部位が明確で刺激を止めると消失して
  しまう痛みは神経線維の中に髄・柱をもっている有髄神経線維で伝えられています。
B 一方の速い痛みに続いて起こる遅く鈍い痛みの部位は明確でなく、刺激を止めても続くのは無髄神経で伝えられて
  いる痛みなのです。
C 触覚・圧覚;指先や顔面に多く分布していますが、触覚(しょっかく)はマイスネル(マイスナー)触覚小体とメルケル
  触覚小体
で毛包に終わる神経終末が受容体で、圧覚ファーター・パチニ層板小体とゴルジ・マッツォニ小体
  受容体となっています。
D 温度覚(冷点と温点がある);冷点は温点よりも密度が高く、冷覚はクラウゼ小体が、温覚はルフィニ小体が受容器
  です。

図:表皮内神経終末;知覚神経の末端(樹状突起)が表皮細胞間に分布(自由神経終末)していて、メルケル小体は特殊化した細胞で自由神経終末が接し触覚を司り、ネズミやネコの触毛やブタの鼻端に皮膚にある。マイスナー小体は神経乳頭の部位にある神経終末で触覚に関与し指頭・口唇・外陰部などに多く分布している。(山田安正:現代の組織学 1994の図を参考にした)

(7)皮筋;
@ この筋肉は随意筋で蚊やアブなどが皮膚に近づいた際に皮膚をブルブルと震えさせ動かす役目をし、動物で発達して
  います。人間は殆ど皮筋が無いため、外傷後に瘢痕(はんこん)組織が収縮し皮膚の下層組織に直接癒着(ゆちゃく)し、
  動かなくなり外傷後の皮膚の美観を損(そこ)ねることになります。
(8)毛の色;
@ 毛は死んだ組織であるが、毛の色の濃淡は毛の外側の皮質という部位にあるメラニンの量によります。毛の中心部
  (毛髄質 もうずいしつ)は、メラニンに乏しく空気を含む小胞を持っています。メラニンが少なくなるほど、
  小胞は髄質や皮膚の細胞に含まれる空気による反射が目だってきます。
A 欧米人の金髪が輝いて見えるのは、気胞によって反射される光りが元来少ないわずかなメラニンを透かして見える
  からなのです。日本人のメラニンを失った白髪(しらが)は銀白色に光って見えることになります。
B ヒトの毛の毛包は男性ホルモンに反応し、毛根の周囲には豊富な神経終末があり、僅かな毛の動きも感じることが
  出来ます。1本の毛の寿命は頭髪で2〜3年、その他の毛は約半年です。

毛の詳細図:毛の表面は、毛小皮という1層の薄い細胞に覆われ、表皮の角質層に相当し、ケラチンに満たされているが核を失っていて図中央でみるように屋根瓦のように重なっているが、右図でみるように毛小皮は数層になっています。中央図の毛幹の芯になっている部分は毛皮質と呼び、角化した長い紡錘形の細胞が大量のメラニンを含み、空気を含んだ空砲をもって、毛の長さの方向に並んでいます。下段図の毛根の基部では毛皮質の内側に毛髄質があり角化していない大型の細胞からなり、メラニンに乏しく、空気を含む小胞をもっています。(山田安正:現代の組織学 1994の図を参考にした)

(9)角;
@ 角は皮膚の一部で、表皮が角質化(かくしつか)したものです。例えば、ウシの角にみる年輪のように凹凸した横線を
  角輪
(かくりん)といいますが、やはり表皮の角質化したもので年齢鑑定に用いられます。
(10)つめ;
@ 爪は指先を保護する器官で、皮膚の角質層がより緻密(ちみつ)になったもので死んだ組織なのです。従って傷ついても
  修復されないが、爪の母体となっている爪母基が健在であれば再生します。つめは馬の蹄に相当し、馬に真っ赤に
  焼けた蹄鉄を装着しても痛がらないのは爪と同様に死んだ組織だからです。
(11)蹄;
@ 蹄は爪と同様に指端を保護するもので、武器にもなります。
A 馬の蹄表面の横に形成されている蹄輪(ていりん;ウシの角輪と同様なもの)は飼養管理や環境要因の影響を
  受けるので、過去の馬の健康状態を把握する目安にもなります。
(12)皮膚の終末神経(六種類)の分布位置;
@ メンケル小体;ヒトの各所皮膚に散在している神経終末ですが、ネズミやネコは口髭(くちひげ)の触毛の根元に
  あります。ブタは鼻端の皮膚に存在しています。
A マイスナー小体;表皮下にある神経終末で、乳頭に接して在ります。触覚にあずかっています。指頭、口唇、外陰部
  に多く分布しています。
B ファータパチニ小体;真皮の深部から皮下組織の表層に在り、やや大きい神経終末です。指腹、陰茎、陰核、乳輪、
  腹膜に多く分布し。圧力の受容器でもあります。
C ゴルジーマッツオーニ小体;真皮内や結膜に在り、温覚の受容器でもあります。
D クラウゼ小体;舌粘膜、結膜、直腸、外陰部に在りますが、その機能は不明です。
E ルフィニ小体;皮下組織、特に足底の皮下組織に多く分布し、皮膚の緊張を感じる神経終末です。
(13)乳房;
@ 乳腺の原基は、腋窩(えきか)から鼠径部(そけいぶ)に沿って線状に数対発生していますが、ヒトでは第4対部位だけが
  発達
し左右の乳房となっているのです。馬も人と同じで2個です
A 乳輪(にゅうりん);乳頭周囲の輪状の色素に富む部分を言いますが、若い女性はピンク色、年齢が進むと褐色を帯びて
  きます。また、妊娠時は多量のメラニン色素が沈着し黒褐色となります。馬の乳頭の皮膚はメラニン色素が沈着し
  黒で、汗腺を欠くが脂腺が発達し乳房間溝の皮膚で最も発達が良い。

図:馬の乳房。上図;皮膚面から。下図;乳房の断面で主に乳腺・乳管を示す;馬の1乳房は2〜3乳区が互いに独立し乳頭先端の乳頭管に開口しています。したがって馬の乳房は見かけ上の1乳房をつくっていることになります。(JRA競走馬保健研究所 馬の解剖図譜 SCHMALTZ 1975 の図を参考にした)

(14)皮膚の厚さ;
@ 改良の進んだ動物は皮膚が薄いと言われています。
A 頚や背部は腹部より厚い傾向にあります。
B 四肢の外側は内側より厚い。
C は雌より厚い。
D 寒い地方の動物は真皮、皮下組織が良く発達しています。
E 家畜の平均的な厚さ;
*ウマ;1〜5mm、 ウシ;5〜7mm、ブタ;1〜2mm、ヒツジ;0.5〜3mm、イヌ;一般に薄い、ネコ;堅牢。
F サラブレッドの皮膚は重種馬などの馬より薄いので、短時間の横寝睡眠行動をとります(多くは立ったままの睡眠を
  断続的にとっている傾向にあります)⇔長時間横に寝る睡眠を取ると血行障害を発症し褥瘡(じょくそう)を発症
  するからです(速く走る馬ほど皮膚が薄いと言われています)。
(15)競走馬の毛包と汗腺の分布状態;(渡辺昌子卒業論文、麻布大;1993を参考)
@ サラブレッド種の体表部皮膚における毛包の密度;部位によりかなりの相違があります。
A 毛包密度(もうほうみつど) の平均は、810個/1p2(525〜11285個)です。
B 繋部(つなぎぶ)は高い毛包密度です。恥骨部(ちこつぶ)、上腕部(じょうわんぶ)、内側後膝部では低い密度です。
C 体幹の腹側部(臍部・さいぶ、鼠径部・そけいぶ、恥骨部・ちこつぶ)は、背側部よりも毛包密度は疎(そ)でした。
  尾根部や前胸部では平均以下でした。
この背側における現象は太陽光線刺激や雨などの有害物質に直接さらされる部位であることから防御(ぼうぎょ)との
  関連性
があるのかもしれないと推論しています。腹側部の低密度部は皮膚厚が薄く、しかも可動性を要求される
  部位であることと関係があるのでしょう。
D 四肢遠位部の毛包密度は近位部に比べ増加しています。体表では不均一でした。
E 毛包と汗腺との関係は、ウマは汗腺の発達している動物であるとされていますが、アポクリン腺のみです。
F 一般的に哺乳動物の汗腺には、真皮(しんぴ)の深層から皮下組織にかけてエクリン腺(小汗腺)とアポクリン腺
  (大汗腺)が在ります。エクリン腺は毛とは無関係に全身に存在し、体温調節に関係しています。アポクリン腺は
  腋窩(えきか)とか生殖器、耳、まつ毛、乳輪腺(にゅうりんせん)、肛門周囲などの皮膚に多いとされ、特有な汗の臭
  いを持ち、毛包上部にエクリン腺よりも太い管径をもって開口しているので大汗腺とも言われます。ちなみに、
  ウマを含め動物の多くはこのアポクリン汗腺なのです。
G ウマの毛包は他の動物と異なり1毛包1毛根からなるため、ウマの被毛分布は毛包とアポクリン腺の体表分布と一致
  している
ことになります。

図:サラブレッドの体表皮膚における毛包の密度;この図の密度によれば繋・ツナギの部分が最も高い密度になりますので、汗を沢山かくことになります。運動後の手入れ・水洗が大切ですね。

3)皮膚の機能と関連している体温と発汗について
(1)体温
@ 体温は血液中の酸素が体内の各部で栄養素となり分解燃焼することによって発生しています。
A 年齢の若い馬は体温が高く、老齢馬は低い傾向にあります。
B 朝は低く午後は2〜3分高いのが正常です。この差を日差(にっさ)と言いますが逆の場合は異常な状態です。
C 安静時に比べて運動後は体温が上昇しますが、レース直後で40℃にもなることもあります。
D 競走馬の体温は一般の馬より2〜3分高いのが普通です。午前(安静時);37.8℃内外、午後(安静時);38.0℃
  内外です。
E 検温は毎日、決まった時間に朝夕2回計測し、体温表に記録することです。
F 激しい運動で体温は上昇するが時間とともに徐々に下がるのが健康な馬(1〜2時間で平熱に戻る)です。
G 安静時に38.5℃以上の場合は明らかに病気の徴候なので獣医師に連絡して診察してもらってください。
(2)発汗
@ 馬は家畜の中で全身からよく汗をかきます(馬は汗腺の発達が良いからです)。
A 汗は身体を冷やし体温の上昇を調節しているのです。
B 発汗は体温調節、皮下の水分(尿素や塩分)、疲労素を排泄する作用をしているので、汗のかき具合を毎日注意して
  観察することです。
C 皮膚の手入れが悪いと⇒汗をかかなくなり、体調をくずします←日常の十分な手入れと観察が必要です。
D 運動後の発汗⇒一度乾きますが⇒再び発汗(二度汗をかく)の場合は⇒体調の悪い馬の徴候なのです。
  注意しましょう。
E 安静時に汗をかく⇒これもまた異常(疝痛、熱射病、肺充血など)な症状です。
F 夏は発汗するのが普通ですが⇒汗が多すぎたり、逆に少なすぎたりしている場合は⇒"夏まけ"を疑いましょう。

図:ばんえい競馬の一風景;8月の帯広でのバンエイ馬達の第1障碍での力くらべ。外貌からは発汗がみられなかった。サラブレッドと発汗の違いが有るのかも知れませんネ。

4)皮膚の仕組みのノウハウ
@ 激しい運動や高温環境下では多量の発汗をします。
A 100ccの汗(蒸発)は、体重70kgのヒトの体温を1℃下げる冷却効果があるとされています。
B 発汗は、脳の視床下部にある体温中枢機構と汗腺の分泌活動の働きによって調節されているのが通常です。
C 体温が上昇した時に汗を分泌して体温を下げる汗腺の数は、ヒトではほぼ2歳半までに住んでいた環境によって
  左右される
とされています。汗腺数は、温暖地のヒトほど多い傾向にあり、アイヌ人は、フィリッピン人の半分
  だそうです。成人になってから移住した者の汗腺数は元居住していた時と変らないそうです。温かい国で生まれた
  日本人は、やはりその国の者と同じ汗腺数だそうです。
D 発汗量は、ヒトで1時間に最大2〜3g(1日に10g)に及びます。
E 発汗の源液となる血液との関係は;体重65kgのヒトは体重の1/13が血液(全血液量5g)で、そのうちの45%が
  血液成分、残りの55%が血漿ですので、この血漿の約3gが汗の原液となっていることになります。
F 体重の2%程度の発汗では、70%が細胞外液の水分が利用され、残りの30%は細胞内液に頼(たよ)っています。
  また、体重の4%を超(こ)えるような多量の発汗は更に細胞内液の利用を50%増加させています。
G 通常は、発汗による脱水の程度に関わらず、血漿(けっしょう)中の水分の減少を10%程度に維持する仕組みに
  なっています。
H 従って体重の2%を超える発汗の際には、積極的に飲水による水分補給が望まれます。
I 高温環境下での運動は、体温の上昇、皮膚や筋肉の血流を増加させるため、循環血液量の減少を招き、中心静脈圧や
  心拍出量が低下する危険性(熱失神)が高くなりますので、要注意です。
J 多量の発汗は、体液のバランスを崩し、痙攣(けいれん 熱痙攣)や疲労(熱疲労)を起こし、死に至る事もあります
  ので、汗のかき方には十分な観察力と注意が必要です。

図:ばんえい競馬(帯広の8月のレース);第2障碍でのバンエイ馬達の奮戦(体力がなくなり寝込む馬や前膝を地面に座り込む馬なども見られます)。

次回の第3話には皮膚疾患を2分割し、その1を紹介します。お楽しみに!!


(第1話)へもどる| (第3話)へすすむ

第1章・第1話へ
第2章・第1話へ
第3章・第1話へ