サルタリィ・ベンは、競走馬飼料・競走馬サプリメントを通して丈夫な馬づくりを応援しています。
競走馬飼料として多用されているゼラチン、コラーゲンとアミノ酸の補給を目的とした純品100%タイプゼラチンは、 予防医学の素材としても重要な物質です。
運動器(蹄・骨・関節など)の健康に!若馬の成長に!胃腸の健康・疲労回復に!
競走馬飼料 コバスについてのお問い合わせ・ご注文はこちらまで 

TOPページ ごあいさつ 製品案内 事業内容 会社概要 リンク集 ブログ

第1章・第1話へ
第2章・第1話へ

第3章:馬の栄養管理について

(第1話)基本的な馬の栄養とは何か!!

(第2話)馬の体調維持に必要なミネラルとビタミン

(第3話)実際に使われている馬の飼料とその栄養価について

(第4話)出生〜若馬の飼養管理について1 出生〜離乳まで

(第4話)出生〜若馬の飼養管理について2 離乳後〜育成期の疾病予防対策

(第5話)馬の養分必要量と個体別飼養管理の重要性 1

(第5話)馬の養分必要量と個体別飼養管理の重要性 2

(第2話)馬の体調維持に必要なミネラルとビタミン

第2話では1話に引き続き丈夫な馬づくりに大切なエサとして各種ミネラルとビタミンについて、その馬体への作用機序や不足による症状などを呟きます。

1.ミネラルについて
@ 馬に多く必要とするミネラルは、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、イオウ、マグネシウムなどです。
A 微量必要なミネラルとしては、コバルト、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨード、モリブデン、セレニウムなどです。
B 馬の体の中にはミネラルが体重の3.5%〜4.5%含まれています⇔その多くはカルシウムとリンで、
  骨や歯に存在しています。
C ミネラルの生理的な役割は何か?(非常に重要な働きをしています)
  骨格をつくる。
  細胞内外の液体の電解質として働く。
  酵素や触媒の一部として身体の代謝作用の働きをしている。
  アミノ酸と結合して栄養源となる。
D 馬の飼料中で不足しがちで、、バランスの崩れやすいミネラルは、カルシウム、リン、ナトリウム、塩素、
  マグネシウム
です。

E 欠乏または過剰になり易いミネラルは、セレニウム、ヨード、モリブデン、銅です。
F ミネラルの吸収は、土から草へ、草から馬のからだへ、そして身体から土へと循環して利用されているのです。
  特に馬はカルショウムを小腸で、リンを大腸で吸収しています⇔小腸や大腸に疝痛を起こさないようにしましょう!!
G 従って、馬は飼育されている地域の水や草地のミネラル含量によって摂取が変わってくることになります。
左側:タテガミを立てて朝食・乾草を食べているモウコノウマ(多摩動物園にて)。
右側:サイが朝食・牧草を食べている(多摩動物園にて)。
*老婆心ながら、野生時代と違うので栄養管理には細心の配慮がなされているものと思います。

1)カルシウムとリン
@ 馬の体のなかに存在するミネラルのうち、約70%はカルシウムです。
A カルシウムとリンの適正比率は、2:1で、ビタミンDなどが十分補給されると最も効率よく利用されます。
B カルシウムは、骨と歯の中では約36%を占めています。
C カルシウムは血液の凝固、筋肉と神経の興奮、臓器の反応調節に関与しています。カルシウムはマメ科牧草
  多量に含まれています。
D リンは骨や歯の中では約17%を占めています。穀類に多量に含まれています。
E リンは、細胞の代謝、炭水化物や脂肪の代謝から筋肉・骨格筋収縮のためのエネルギーの発生に関与しています。
F 血液のなかのカルシウムとリンは、濃度が常に一定に保たれる仕組みになっています⇒それは、上皮小体ホルモン
  (パラソルモンと言うホルモン)と甲状腺ホルモン(カルシトニンと言うホルモン)の働きによります。
G カルシウムとリンが欠乏した場合は、若い育成馬では化骨・骨の形成が遅れるクル病と言う病気になります。
  成馬では顔が腫れてくる骨軟症や骨がスカスカになりもろくなる骨多孔症と言う病気、あるいはビッコを
  ひくようになり跛行が現れてきます。
H カルシウムが不足してリンが過剰の場合は、栄養性の二次的副甲状腺肥大症という病気が起こり、顎や顔面骨などが
  肥大・腫れて
きますので日常の馬体観察と栄養管理が大切です。
I 馬の腎臓からのカルシウム排泄機能は特にすぐれているので、カルシウムを多く摂取しても尿中に排泄されて問題に
  なることが少ないのですが、リンとのバランスが5倍以上になると⇒骨や臓器、筋肉、血管壁などに石灰沈着
  を起こすことになります(異所性石灰化という現象で、身体のあちこちに硬い石灰の塊りや骨ができてきます)


2)ナトリウム、カリウム、塩素
@ ミネラルは、体液や骨以外の組織の中にも存在し、細胞壁の浸透圧・新陳代謝を一定に保ち、酸とアルカリの
  平衡状態を保つ働きをしています。

A ナトリウムは、身体のなかに約0.2%含み、ナトリウム不足は食欲減退や成長の低下があらわれてきます。
  食塩に多く含まれています。
B カリウムは、ナトリウムと同じくらい身体に含まれ、特に筋肉のなかに多く入っています。良質な牧草中に多く
  ふくまれているので、不足することはありませんので、
そんなに神経質になることはありません。
C 牧草を良く食べる馬は、どうしてもカリウム摂取が多くなるので、食塩を十分に与えることが必要です。
D 塩素は、血液中に塩化ナトリウムの形で存在し、胃酸中には塩酸などのかたちで存在し、消化や腸内の殺菌などの
  重要な役割をしています。

E 食塩は、唾液の分泌を刺激し、消化酵素の作用を増進しますので、大切なミネラルです。

3)マグネシウム
@ マグネシウムの70%が骨に存在しています。欠乏は興奮、筋肉の硬直、けいれんマグネシウムテタニー症:ウシ
  に多い)を発症し、マグネシウムの不足な牧草を摂取することにより起こるグラステタニー症があります。
A マグネシウムは、生育初期の茎葉に多く含まれています。

左側:上高地・明神池。
   山や周囲の土地から湧き出た・流れた池の水はミネラルが豊富で動物にとっては大切な飲料水となることでしょう。
右側:日高の沿道と民家に接した放牧地。
   放牧地の土壌や草については成分調査をこまめに行い微調整しながらの管理が大切です。

4)鉄と銅
@ 鉄は、血液中の赤血球のヘモグロビン中に存在しています。
A 鉄が不足すると栄養性貧血となります。特に馬乳の中には鉄分が少ないので哺乳期の子馬には貧血が起こりやすい
  のです
。しかし、一端吸収された鉄はかなり長時間からだの中にとどまっています。鉄分はマメ科牧草や種子外皮
  多く含まれています。
B 一般に成馬では、ほとんど補給する必要はありません。
C ヘモグロビンの造成には鉄と少量の銅が必要です。
D 体の中の銅の半分は筋肉中に存在しています。
E 老齢の繁殖馬では、血清中の銅が低くなり、時々溶血を起こしていることがありますので注意が必要です。
  銅は葉茎や油粕に多く含まれています。

5)ヨードとコバルト
@ 体内のヨードの半分以上は甲状腺(チロキシンというホルモン)に存在し、身体の代謝作用を調節しています。
A 甲状腺腫は、ヨード不足や過剰でも起こる病気ですが。一般に若い馬に多く発症し⇔虚弱幼駒となります。
B 海藻や魚粉に多く含まれているので使用量には注意が必要です。
C コバルトは、ビタミンB12の構成要素となっています。欠乏すると、元気がなく、食欲や体重の減少、貧血が起こります。ウシの食わず病がこれに相当します。

6)セレニウム
@ セレニウム中毒は馬、ウシ、豚、ヒツジに発症します(馬ではアルカリ病と言います)。
A この中毒は、たてがみや尾の脱毛、不整な蹄輪、蹄の脱落・脱蹄、呼吸困難、強直歩様、鼻出血などが起こります。
B 野草のなかにはセレニウムを蓄積しているものがありますので(アカザ、エニシダ、ヒメアブラススキなど⇔これら   野草を馬にはたべさせないこと)注意が必要です。
C ビタミンEとの関係でセレニウム不足は、感染病になり易く、発育率の低下が起こります。重症になると呼吸困難、
  骨格筋の損傷(
白筋症)を発症し、子馬は斃死することになります。


7)マンガン
@ マンガンは身体の成長や繁殖に関与しています。不足は発育不良、受胎率の低下、流産などを発症します。

2.ビタミンについて
@ ビタミンは、飼料、その他で補給する必要があるが、馬の場合はビタミンB群については大腸内の微生物によって
  ある程度合成される仕組みを持っています。

A ビタミンは、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)水溶性ビタミン(ビタミンB群;チアミン、リボフラビン
  、ビタミンB6、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、パラアミン安息香酸、
  ビタミンB12、ビタミンC、P、L)
に分けられます。
B 脂溶性のビタミンは、体内に蓄積されやすい性質があるので、急に欠乏することはありません。ただしビタミンB群の   一部は欠乏が急にあらわれます。


左側:上高地・早朝の明神池。   右側:河口湖の紅葉⇔左右図のどちらも大切な水に関連します。

1)油性ビタミン
(1)ビタミンA
@ 青草のなかにはカロチンが豊富に含まれています。
A ビタミンAは馬の体内で合成されないので、青草に多量に含まれるベーター・カロチンで作らせます。肝臓に
  貯蔵されています。
夏から秋に青草を沢山食べれば冬期間にビタミンA不足は起こりません。
B 長期間低質の牧草を給与するとビタミンA欠乏が起こります。欠乏は下痢、易感染病(感染病にかかり易い)、
  肺炎、子宮炎の発症を起こします。
子馬は
発育減退、涙腺炎、夜盲症、光過敏症などの眼の疾患や被毛粗剛と
  なります。
C ビタミンA過剰症・中毒症は、欠乏症にも良く似ています。
D 植物性飼料の中にはカロチンのかたちで含まれ、馬の体の中に入ってからビタミンAに変化します。主に小腸壁や
  肝臓でビタミンAに移行
します。
E 欠乏すると、発育成長が阻害され、皮膚のケラチン化・角化症、角膜がおかされ乾性眼炎。夜盲症、骨芽細胞の
  活動低下、繁殖能力低下を招くことになります。
F 肝臓と脂肪組織中に貯蔵されています。
G 緑色の葉にはすべてのカロチンが含まれ、茎よりも葉に多く含まれています⇔牧草の刈り取り時期を間違えない
  ようにして下さい。


(2)ビタミンD
@ ビタミンD存在のもとで飼料中のカルシウムとリンが十分含まれていれば正常な骨の成長が起こるので問題は無い
  ことになります。

A クル病は、高カルシウムで低リン飼料、しかもビタミンD不足の幼駒で起こる病気です。
B 骨軟症は、成長した馬に低カルシウム、高リン飼料を与えることによって起こります。
C 一般に、成馬ではビタミンDの欠乏の影響は少ないのですが、妊娠後期や哺乳期にはビタミンDの不足の影響が
  現れますので注意が必要です。

D カルシウムの小腸からの吸収をビタミンDが促進し、腎臓からのカルシウムとリンの排泄にもビタミンDが影響して
  います⇔馬に多い疝痛には注意しましょう。
E ビタミンD (D2 とD3があります)の中で、紫外線を受けたビタミンD2植物の飼料中にあり、ビタミンD3
  日光浴によって作られるビタミンで馬の皮下や肝臓に存在しています。
F 牧草の生草中にはビタミンDが少ないが、乾草には日光の照射によってビタミンの効力に差がでることになります
  ⇔天気の良い日に刈り取りされた牧草にはビタミンDが多量に含まれていることになります。
H ビタミンDは放牧で充分補給されます。良好な状態の天日乾草にも多く含まれ、日光浴で紫外線により得ることも
  出きますので。

(3)ビタミンE
@ トコフェロールとも言い、繁殖能力に関係し、筋萎縮症や白筋症とも関係しています。
A 抗酸化剤としての役割を持っています。
B 母馬はビタミンEの貯蔵が多く、牧草の生草にも多く、穀類の胚芽にも多く含んでいます⇔胎盤や乳腺を通過
  するので、その含量の多少によっては仔馬・幼駒への影響が大きく作用することになります。

C ビタミンEは筋肉の機能を正常に維持するのに必要なビタミンです。ビタミンEは細胞膜の構成要素で、抗酸化
  作用
をしています。運動すると過酸化物質が産生され、ビタミンEの必要量が増すことになります⇔牧草や麦芽、
  植物油に豊富に含有していますので、運動後の馬には補充をしてあげましょう

D ビタミンEと微量元素のセレニウムは筋肉代謝の正常維持に必要な物質なので、その多くは疲労性筋痛、筋炎、
  筋肉損傷などの治療薬として注射投与に用いられています。

(4)ビタミンK
@ 身体の出血と関係し、欠乏すると血液の凝固に要する時間が長くなります。
A 牧草の生草または乾草に多量に含まれています⇔馬では盲腸と大結腸の中のバクテリアがビタミンKをかなり合成
  しています⇔従って馬では不足することは少ないのです。ビタミンKは血液凝固に必要なものです。
B 牧草に生えたカビの摂取でビタミンKが破壊されますクローバー類に多く発生するカビのデクロマロールと言う
  物質により、数週間摂取しているとビタミンK欠乏が起こり
⇒血便、血腫、腹腔内出血などが発症します。

2)水溶性ビタミン
@ 水溶性ビタミンは、体内の代謝で補酵素の成分として大切なビタミンB群があり、チアミン、リボフラビン、
  ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、コリン、葉酸、コバラミン
などを含みます。
(1)ビタミンB群
A 醸造酵母がビタミンB群の優れた補給源です⇔ビタミンB群は腸管内のバクテリアにより合成されますが、利用性
  あまり良くありません⇔運動する競走馬には補強する意味で醸造酵母が良いとされています。
B 蹄を丈夫にするには、ビオチンが有効です⇔湿地の放牧地や乾燥地の馬、硬い馬場で運動する馬、敷き科が薄く
  排尿の上に立つ馬などは蹄への正常な血流が妨げられて蹄の脆弱化を起こしますので⇔ビオチンが有効です。

C 神経系の健常維持に必要なビタミンB群神経質な馬には有効です。
D シダ類に含まれる物質がチアミン(ビタミンB)を破壊します。ほうれん草にはシュウ酸が含まれ、カルシウムと
  不溶性化合物をつくりチアミンの利用を妨げる効用がありますので、注意しましょう。
E 水溶性のビタミン(BとC)に過剰症はありません⇔それは脂溶性ビタミンのビタミンDには余分な水溶性ビタミンを
  排泄させる働きがあるのでBとCの過剰症は起らないのです。
F 肝臓で合成されるビタミンC⇔馬は人間と違い、肝臓で十分な量のビタミンCを合成します。ただし、輸送、病気、
  妊娠などで多くかかるストレスでは補給の必要が出てきます。
G 馬の盲腸や大結腸内でバクテリアの働きによりかなりの量が合成されています⇔疝痛には注意しましょうね。
H チアミンは、糖質の代謝に欠かせないもので、欠乏すると疲労、心臓障害、食欲減退が起こります。酵母や穀類
  多く含みます。
I 馬がシダ類を多量に摂取すると中毒になります(シダとは;ワラビ・ゼンマイなどが含まれ⇔中毒症状は、
  ビタミンB1欠乏症で別名は梁川病あるいは腰フラ病と言い⇒末梢神経変性症・神経線維の水腫や脱落が起こり
  運動器病を発症します)。

J リボフラビン(ビタミンB2)は、糖質とタンパク質の代謝作用に必要です。馬では腸内バクテリアで合成されて
  いるが十分ではないので飼料として補給の必要があります。欠乏すると眼、皮膚や神経の障害が起こります。
  アルファルファや油粕に多く含まれています。
K ニコチン酸またはナイアシンは、細胞の呼吸に関与しています。欠乏すると口腔内に潰瘍、皮膚炎が起こり
  「ペラグラ」という病気になります。ナイアシンはアミノ酸の一種で不足することはありません。
  アルファルファに多く含まれています。
L パントテン酸は、脂肪酸の分解や合成に重要な役割をし、欠乏すると成長の低下、繁殖不能、皮膚や被毛の障害が
  起こります。酵母や糖蜜に多く含まれています。
M ビタミンB12は、コバラミンともいい、コバルトを含むビタミンで、抗悪性貧血因子として知られています。
  欠乏すると
コバルトが不足して寄生虫感染などを起こし、貧血、筋力低下、体調不良を起こします。魚粉などの
  動物性飼料
に多く含まれています。

左側:日高の山間地に造設された放牧地での親子。  右側:河口湖の紅葉。

(2)ビタミンC
@ アスコルビン酸とも言い、欠乏では成長低下、体重減少、関節の軟化、貧血が起こります。馬の体内で合成され、
  牧草の生草に多く含まれているので不足は稀です。乾燥や熱に弱いので乾草や穀類には少ないことになります。

*1話と2話には馬の栄養生理に関する基本的な事柄を述べましたので、次回の第3話には実際に馬に使われている
 飼料の種類やその栄養価などについて呟いてみたい。


(第1話)へもどる | (第3話)へすすむ

第1章・第1話へ
第2章・第1話へ