サルタリィ・ベンは、競走馬飼料・競走馬サプリメントを通して丈夫な馬づくりを応援しています。
競走馬飼料として多用されているゼラチン、コラーゲンとアミノ酸の補給を目的とした純品100%タイプゼラチンは、 予防医学の素材としても重要な物質です。
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第1章・第1話へ
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第3章:馬の栄養管理について

(第1話)基本的な馬の栄養とは何か!!

(第2話)馬の体調維持に必要なミネラルとビタミン

(第3話)実際に使われている馬の飼料とその栄養価について

(第4話)出生〜若馬の飼養管理について1 出生〜離乳まで

(第4話)出生〜若馬の飼養管理について2 離乳後〜育成期の疾病予防対策

(第5話)馬の養分必要量と個体別飼養管理の重要性 1

(第5話)馬の養分必要量と個体別飼養管理の重要性 2

(第5話)馬の養分必要量と個体別飼養管理の重要性 1

実際の馬の飼養管理に当たり、厩務員は太らせてもダメ、痩せさせてもダメ、難しい餌の給餌問題を抱えることになります。健康な馬に必要なエネルギーや微量元素の分量などを知り、しかも馬には無くてはならない放牧地、採草地の管理方法等を十分に知ったうえで栄養のある牧草を得、しかも個体毎の飼い付け方法を学んで丈夫な馬作りに貢献しようではありませんか?

1.馬のエネルギーとその必要量とは?

(1) からだの健康維持に必要なエネルギー

@ 馬が安静時に体を健康に維持していくための最小限のエネルギーのことです。
A 体の維持に必要なエネルギー量は、体重1kg当り30〜40Kcalであるとされています。
(2)若馬が発育しているときに必要なエネルギー
@ 生まれてからどのような早さで成長していくのが適正なのかは未だ明確な答えはないのです。
A しかし、急速に成長する馬の多くは骨軟骨症、骨幹端炎、腱拘縮症などの運動器障害が起こることがあります。
左図:馬に必要な水を流す梓川からみた朝靄の上高地。
右図:新鮮な水の流れる上高地の朝靄と梓川。

(3)運動に必要なエネルギー
@ 負荷される運動の量と質によって変わります。
A 一般に競走馬の普通の調教時のエネルギー消費量は、5,000Kcal位いであるとされています。
B 体は常に新陳代謝をして組織が新しくなっていくときにはタンパク質は欠くことのできない物質です。
C 安静にしているときのタンパク質量は、馬体重100kg当り80〜100gとされています。
D 但し、成馬の場合、糖質や脂肪のエネルギー源が十分あれば、タンパク質をエネルギーとして使うことがないので、
  運動のために特に多くのタンパク質量を増やす必要はありません。


2.ミネラル必要量は?
(1) カルシウムとリン
@ 骨の代謝に必要なカルシウムは、外から全く摂取しないときは体の代謝で糞や尿に排泄されるので、馬の体重1kg
  当り26mgのカルシウムが体の維持のために最小限必要な量となります。

A カルシウムは、馬特有で小腸から吸収されるが、その利用率は45〜70%です。
B 従って、成馬の維持に必要なカルシウムの1日の量は、体重1kg当り35〜60mgで、体重450kgの馬では18〜25g
  となります。

C リンは馬体重1kg当り10mgを最小限必要な量となります。リンは大腸で吸収され、その利用率は30〜50%ぐらい
  です。馬体重450kgの場合は1日9〜18gとなります。

D 骨をつくるカルシウムとリンの適正な比率は、2:1ですので、カルシウムに比べてリンが著しく多くなると、
  カルシウムの吸収が阻害されて、栄養性二次的副甲状腺腫が起こり骨に病気が発症します。

(2)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、イオウの必要量(1日の飼料中の%)
@ ナトリウムは、必要量0.3%。
A カリウムは、0.5%。
B マグネシウムは、0.1%。
C イオウは、0.15%。

3.ビタミンの必要量は?
(1)ビタミンA
@ 放牧地で4〜6週間、新鮮な牧草を摂取した馬は、3〜6ヵ月間は血液中にビタミンA濃度が正常に維持されています
  ので、特別に与える必要はありません。
(2)ビタミンD
@ 普通は摂取している天日乾草と日光浴で十分得ているので、特段の必要性はありません。
(3)ビタミンB群
@ 馬の腸管内で合成されるので、ほとんど飼料に追加する必要はありません。
左右図:小石川植物園の早春を告げる紅梅と雨滴:

4.馬の飼料配合と飼い付けは?
(1)給与すべき日量の定め方
@ 通常は、馬の養分必要量として、先ずエネルギーを、次いでタンパク質、それからカルシウムとリンの順序で
  考えること。

A 他の多くの栄養素を考える場合は、配合されている飼料で十分満たされるはずです。
B 牧草は栄養成分が大幅に変動する可能性があるので、牧草を予め公的機関で時折分析してもらうことをお奨め
  します。
C 馬に与えられる飼料の80%以上がエネルギーを考えて与えるので、原則として1日の日量の内容として、牧草は餌の
  50%〜100%の範囲で、穀物が0%〜50%の範囲にすることです。
D 馬の胃(体の割には小さい)や腸管(大きくて長い)が健全に消化作用できる1日の飼料の最高給与量は、体重の
  3%で、普通は2.0%〜2.5%の範囲で日量を考えること。

(2)飼料の配合の考え方
@ 穀物や牧草の不足しがちな栄養素を相互に補うようにすることと、全体的に飼料の栄養上のバランスがとれている
  ことが必要です。

A 但し、穀物は馬に給与する日量の2分の1を超えてはならない。
B 穀物の1日の量は、馬体重のほぼ1%(体重100kg当り1s)ぐらいにすること。出来る限り牧草で摂取するように
  配合することです。

(3)飼い付けの方法・注意
@ 毎日同じ時刻に飼い付けをすること。
A 厩舎の全馬一斉に給与すること。
B 個体により飼い食いのパターンが異なるので、良く観察し、1回の飼い付け時間を約30分に調整すること。
C 飼槽は食べ易い肩の高さの位置におくこと(可能なら床が良い)。
D 馬が食べている時に、寝ワラ上げをしたりして邪魔をしないこと。
E 飼料の配合を変更する時は、徐々に内容を変えていくこと。
F 食べ終わったら、なるべく速やかに飼槽をはずすこと。
G 使用している飼槽はよく洗い、日光消毒すること。

(4)飼い付けの回数
@ 成馬で休養している時;1日1回。普通は1日2〜3回。4回の時は
  朝、昼、夕飼の3度に夜飼を加えること。
A エネルギー量の多い飼料を要求する競走馬の場合は、夕飼を多めにして、朝飼と昼飼を軽くすること。
(5)空飼葉
@ 飼葉の慣行的つくり方は、穀物に【切り草:葉飼ともいう】を混ぜ、少しの水を散布する。しかし、アメリカなど
  では飼い付け時に穀物だけを与える方法が採用されていて、これを【空飼葉;からかいば】と呼んでいる。
A 空飼葉の利点:
 *馬が食べ易い。
 *衛生的である。
 *飼い付けの便利が良い。
B 空飼葉の欠点:
 飼料摂取が早く、食物通過が早まること。
 栄養が偏りやすいこと。

(6)競馬出走・競技出場前の飼い付け
@ 競馬や競技前日からの牧草の給与は最小限にして、出来るだけ控え目にすること。多給は競走能力に影響します。
A 競馬や競技前日の穀物の与え方に特に注意し、やや控え目にすること。良質なチモシー乾草またはアルファルファ
  乾草の切り草と細片ニンジンを少量混ぜて与えるのが良い。
B 競馬・競技の当日の飼い付けは、出走のほぼ3〜4時間前に消化の良い穀物を軽く食べさせること。良質なデンプン
  質は消化が早くエネルギー源となります。
C 出走が午後の遅い時間の時は、朝6時30分頃に朝飼、更に11時頃軽く昼飼を与える。水飼は飼いつけ前に少量
  飲ませる。

(7)競馬・競技出走後の飼い付け
@ 十分に引き馬をして、体温が平熱に下がったところで清潔な水を飲みたいだけ与える。
A 競馬・競技出走後の夕飼は、通常時の夕飼に戻して良いが、脱水やストレスを受けているので、エンバクやフスマで
  つくる【ブラン】が良い。良質な牧草を草架または網に入れて自由に摂取させるのも良いでしょう。
  【ブラン】は、フスマ0.5〜1.0kg(1升〜2升)に熱湯をかけてよく撹拌⇒エンバク1.0kg(ほぼ1升)を加え混ぜる
  ⇒細片したニンジン、食塩、ハチミツなどを添加する。
B 競馬・競技出走の翌日は、出来る限り放牧草地に放し、ゆったりと休養させること。

左右図:朝靄の上高地:田代湿原。

5.馬の個体別飼養管理は?

(1)栄養状態の判定
@ 個体ごとの判定を先ず厳守すること。
A コンデションの判定は?;馬扱者の視覚と触覚による;その部位は骨盤部位、後躯の筋肉、皮下脂肪、背、肋や頸の
  部位の皮下脂肪の量などを併せて評価の対象としたら良いでしょう。

(2)健康状態と体重
@ 体重の変動には常に気をつけること。
A 発育期には躯幹と四肢の発育発達のバランスを保っていること。
B 四肢下脚部の発育が不十分な時に、躯幹部分が充実して体重が増加すると、骨幹端部分(骨を成長させる骨端線
  部位)の炎症が起こるので、要注意。

C 成馬は、2s〜4sの誤差範囲で体重の変動のあるのが普通。但し同一時刻に体重測定を行うこと。

(3)500kg以上の大型馬
@ 四肢の成長発達の良い馬は、穀類や牧草を普通に給与し、調教は馬体の仕上がりで異なるが時間をできるだけ長く
  すること。
A 四肢の丈夫でない馬は、減飼しながら調教し躯幹部分の肥満をなくすること(前肢への負担を軽くする)。

(4)400kg以下の小型馬
@ 特に良質な牧草を給与し、穀類の嗜好性の良い配合と栄養価の高い配合飼料を与えること。
A 調教は、疲労が蓄積しないように平常の調教量を控え目にすること。

(5) 腹太の馬、飼い食いの良過ぎる馬
@ 普通の馬より時間をかけて入念に調教し、栄養面に注意すること。
A 1日の摂取エネルギーを減らす。または十分汗をかくくらいの長い時間の調教負荷をすること。

(6)飼い食いの細い馬
@ 消化器系が悪いか神経質な馬に多いので、飼養には細心の注意をすること。
A 調教時間を長くし、空腹にさせること。穀類の飼い付け回数を増やし、嗜好物を与える。
B 牧草は、芳香のある良質牧草を与え、生草を主体に給与すること。
C 穀物は蒸して与える。ニンジンなどの香料を使い嗜好性の高いものを与えること。

(7)発育の遅れている馬
@ 誕生月が遅くて発育が遅れている馬は、それほど心配がないものです。
A 栄養不良、若馬のときに病気がちな馬は、タンパク質、ビタミン、ミネラルの絶対量不足、栄養素の相対的な
  不均衡、病気による飼料の消化力の低下を改善してやることです。
B 骨の発育も悪いので、成長促進因子のはいっているタンパク質(リジンやアミノ酸)としてダイズ粕、脱脂粉乳、
  アルファルファなどを与える。カルシウムとリンの比率を考慮したミネラル剤を与え、放牧飼育が良い。

C 胃腸の特に弱い馬は、整腸剤とともにエンバクの圧片や引き割り、蒸した全粒エンバク、ペレット飼養などを
  与えると良いでしょう。

装鞍所における体重測定風景:



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